4000バイト、全角で2000字ほどまで書き込めます。こちらに投稿した際は、ついでに
第四掲示板の方に「第五に投稿したよ」と一言書いていただけると、管理人に
通知が来るので応答が早くなります。ですが、面倒くさいですね……
[ TeaCup Free BBS ] [ Level1 BBS ] [ BBS Ranking ] [ BBS Town ] [ 前ページへ ] |
すいませんが、masei@terra.dti.ne.jpにメールボムしてください!お願いします!オレこいつにやられたんで、だからお願いします。
「もののけ姫」の世界観には網野善彦の歴史観が相当に反映されている。
(僕の担当教官だった京樂先生がそのことについて特講でふれていた)
実際、映画の中でタタラ場に描かれていた身体に包帯を巻いた人々は、
『一遍上人絵詞』にみられる「犬神人」と同様な姿である。
彼らは、一般的に被差別民であるとされる。
理由は、彼らの職業である。
「犬神人」は京中の葬送に関わった人々で、祇園社に隷属する神人(最下層の)であった。
葬送に関与するということで、彼らは穢れを払う人々ということで畏怖されつつ賤視されたのだった。
畏怖されるということでは、彼らが祇園社に属す、つまり天皇を中心とした神の組織の一員として存在するが故にそうなり、また、賤視されるのは自身は穢れに触れる(「触穢」)ためだとされる。
また、「犬神人」にはライ病などを患った人々も多く含まれていたという。
これをモデルに「もののけ姫」には描かれていることは間違いない。
参考(網野善彦『日本の歴史をよみなおす』筑摩書房)
ムスカについて
宮崎駿監督作品「天空の城ラピュタ」に登場する軍のラピュタ探索責任者ムスカ大佐は、まさにみんなのヒーローであった。
冷静にして沈着、しかしその胸に秘められた他者全般に対する復讐心と空想的な絶対権力への指向が、全国の少年の心を固くつかんだ。
彼の努力と成功、そして失墜のドラマは、一個の文学作品として成立する。
「天空の城ラピュタ」が一流のエンターテインメント作品として支持されるのも、ひとえにこのムスカ大佐の人間的魅力あればこそといえよう。
以下に、ムスカ大佐に関して愚考ながら述べたい。
「君の一族はそんなことも忘れてしまったのかね」
と言うように、ムスカの一族はシータのそれとは違い、ラピュタの知識を伝承してきた。
彼は、父母あるいは祖父母から、一族の秘密としてそれを教えられたと思われる。
しかしその一族は、ムスカが将軍から「特務の青二才が」とののしられる様子から、むしろ権威ある家柄などではなくて、ラピュタ王族の末裔であるということのみを内心の誇りとしている、零落した人々ではなかったかと思われる。
この点、ムスカとパズーは相似する。親の見た夢を自分も抱いて生きているのである。
そしてムスカは、自分と一族の持つ正当な地位を取り戻すべく、ラピュタの知識を独力で集めた。たとえば
飛行石の用法
「飛行石にラピュタの位置を示させる呪文かなにかを、君は知っているはずだ」
ラピュタの構造
「ここから先は王族しか入れない聖域なのだ」
ラピュタの超兵器
「旧約聖書にある、ソドムとゴモラを滅ぼした天の火だよ。ラーマヤーナではインドラの矢とも伝えているがね」
である。こうした努力に関しては、パズーの飛行機とムスカの手帳が対応する。
しかし、暗い図書館の片隅で、埃のつもった古文書を読み、メモを取りながら、ムスカは不安を抱いていた。
ラピュタは夢物語かもしれないのだ。飛行石も伝えられてはおらず、自分が集めた知識もでたらめかもしれない。
「このまま進め。光は常に雲の渦の中心を指している。ラピュタは嵐の中にいる」
と命令するムスカ。その自信にあふれた態度の奥には、自分の信じてきたラピュタを、人生を捧げてきたラピュタを、本当に信じられるのかとおびえる彼がいるのである。
その不安が打ち破られたとき、彼は叫ぶ。
「読める、読めるぞ!」と。
この一言に彼のそれまでの人生すべてが表現されていると言っていいだろう。そう、その時、彼は勝ったのだ。彼のそれまでの人生は肯定された。ラピュタはほんとうに彼のものになったのだ。
以上、もはや国民的ヒーローとなった観のあるムスカ大佐について、そのライバルであるパズー少年と対比しながら、推測を織りまぜつつ論じた。
「天空の城ラピュタ」自体はムスカ大佐の敗北とラピュタの崩壊によって悲劇的に終わるが、劇中大佐が言うように、それが人類の夢である限り、ラピュタは何度でもよみがえる。
志を胸に秘めた少年少女は、彼をめざして奮闘してもらいたい。
およばずながら励ましとしつつ、本論を終える。
参考
「蜘蛛の糸」筋肉少女帯
ムスカ全台詞 まじん号Zさんによるもの。ありがとうございます。
--------------------------------------------------------------------------------
トップページへ
Copyright(c) 1998 ITO Yu All rights reserved.
mail to ITO Yu (FZR02073---a---t---nifty.ne.jp)
|